定年退職の前後にやることは、どれも難しい手続きではありません。ただ、期限の短いものが辞めた直後に集まっているので、知らないまま迎えると、選べたはずの道が閉じてしまうことがあります。
退職金・健康保険・雇用保険・年金。やることは分かっていても、どれを先にやるのかまでは、なかなか教えてもらえません。順番を間違えても誰も教えてくれないまま、気づいたときには期限が過ぎています。
この動画では、定年退職の前後にやることを、やるべき順に4つ並べて、税理士が解説しています。辞める前に会社へ出す1枚の書類から、退職後の健康保険の選び方、雇用保険の失業給付、年金の受け取り方までを、1本の道筋にしました。
あわせて、令和8年1月から変わった退職所得控除の調整(iDeCo・企業型DCの一時金との重なりを見る期間が、前年以前4年から9年に広がりました)、任意継続の20日という期限、60歳以上の定年退職者が使える受給期間の延長、65歳より前の年金と失業給付の関係にも触れています。ぜひ最後まで動画をみてください。
※この動画は2026年(令和8年)9月時点の制度にもとづいています。
▼1つ目:辞める前に会社へ出す書類
・「退職所得の受給に関する申告書」を、退職金を受け取る日までに会社へ提出します
・退職金は、ほかの所得と切り離して、勤めた年数に応じた控除を引き、残った分を半分にして課税されます(国税庁 No.1420)
・勤続38年なら、控除の枠は2060万円です
・出さないと、控除を使わないまま一律20.42%が源泉徴収されます(2000万円なら400万円超)
・払いすぎた分は確定申告で戻りますが、手間と時間がかかります
▼令和8年1月からの改正(退職所得控除の調整)
・iDeCoや企業型DCを一時金で受け取ると、そのあとの退職金の控除が、重なった勤続年数の分だけ削られます
・この調整の対象になる期間が、前年以前4年から前年以前9年に広がりました
・令和8年1月1日以後に一時金を受け取り、同日以後に支払われる退職手当等から適用されます
・iDeCoを先に受け取る予定のある方は、受け取る順番で税額が変わります
▼2つ目:退職後の健康保険(いちばん急ぐ)
・任意継続:それまでの健康保険を2年まで続けられます。申し込みは辞めた日の翌日から20日以内で、1日でも過ぎると申し込めません
・保険料は会社が半分出していた分がなくなるので、ざっくり2倍になります。ただし上限があり、協会けんぽの令和8年度は標準報酬月額32万円が上限です
・国民健康保険:市区町村の窓口で、辞めた日の翌日から14日以内が目安。保険料は前の年の所得で決まります
・ご家族の扶養:条件を満たせば本人の保険料はかかりません
・どれが安いかは、前の年の所得や扶養するご家族の人数で入れ替わります。3つとも試算してもらってから決めてください
▼3つ目:雇用保険の失業給付
・離職票が届いたら、ハローワークで求職の申し込みをします
・辞める前の2年間に、雇用保険に12か月以上入っていれば対象です
・定年で辞めた方は自己都合と違って給付制限がなく、7日の待期のあとから対象になります
・受け取れるのは、辞めた日の翌日から1年の間だけです
・60歳以上の定年などで辞めた方は、離職日の翌日から2か月以内に申請すれば、受給期間を最大1年延ばせます
▼4つ目:年金
・年金は、自分で請求しないと始まりません
・受け取り始める年齢は早めることも遅らせることもできますが、早めると一生減ったままで、取り消しもできません
・65歳より前に受け取れる「特別支給の老齢厚生年金」がある方は、基本手当を受け取る間、年金が全額止まります
・65歳を過ぎて辞めた方が受け取る「高年齢求職者給付金」は、年金と一緒に受け取れます
・どちらを先にするかで金額が変わるので、年金事務所とハローワークで確かめてください
▼出典
国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」、国税庁「A2-29 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)」、令和7年度税制改正(退職所得控除の調整規定の見直し・令和8年1月1日以後適用)、全国健康保険協会「健康保険任意継続制度」「令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について」、ハローワーク「基本手当について」、日本年金機構「雇用保険と年金の調整」。
▼目次
0:01 退職の前後の手続きは、順番と選び方で手取りが変わる
0:25 順番は大きく4つ
0:37 1つ目:辞める前に出す「退職所得の受給に関する申告書」
1:23 令和8年1月から変わった退職所得控除の調整
1:48 2つ目:いちばん急ぐ健康保険
1:59 任意継続は辞めた日の翌日から20日以内
2:25 国民健康保険は14日以内が目安
2:43 どれが安いかは前の年の所得や扶養の人数で入れ替わる
2:58 3つ目:雇用保険の失業給付
3:13 定年で辞めた方は給付制限がない
3:22 受け取れるのは辞めた日の翌日から1年の間だけ
3:33 60歳以上の定年なら受給期間を最大1年延ばせる
3:43 4つ目:年金は請求しないと始まらない
3:57 65歳より前は、基本手当を受け取る間は年金が止まる
4:12 65歳を過ぎたら、一時金と年金は一緒に受け取れる
4:29 締め
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【税理士・三股秀之のプロフィール】
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