本コラムの内容は、執筆時点での法令等に基づいています。
スタッフの定着は、動物病院経営における最大の課題の一つです。慢性的な人手不足が続く中で、「採用できない」よりも「辞めない仕組み」を作ることが重要になっています。
本コラムでは、給与・退職金・福利厚生の三点セットでスタッフ定着を図りながら、節税も同時に実現する方法を整理します。
動物病院スタッフの給与設計
獣医師・動物看護師・トリマー・受付など、職種ごとに市場相場を踏まえた給与レンジを明文化することが、定着の第一歩です。
特に重要なのは以下の3点です。
- 初任給の設定(採用力に直結)
- 昇給ルールの明確化(将来不安の解消)
- 評価制度との連動(納得感の醸成)
また、税務面では賃上げ促進税制の活用がポイントになります。
一定の要件(前年比1.5%以上の給与増加など)を満たすことで、増加額の最大15%の税額控除が可能です。
ただし、
- 無理な昇給 → 資金繰り悪化
- 控除ありきの設計 → 継続できない制度
となるケースも多いため、期中から税理士とシミュレーションを行い、「続けられる昇給設計」にすることが重要です。
企業型DC・退職金制度の活用
法人化している場合は、退職金制度の整備が定着率に大きく影響します。
① 企業型確定拠出年金(企業型DC)
- 掛金は全額損金算入
- スタッフごとの資産形成が可能
- 社会保険料の最適化にも寄与
若手スタッフにとって「将来の見える化」ができるため、長期雇用の動機付けとして非常に有効です。
② 退職金共済(中退共など)
- 掛金は損金算入
- シンプルで導入しやすい
- 中小規模の動物病院でも運用しやすい
動物病院は離職率が高い業界ですが、裏を返せば「退職金制度があるだけで差別化になる」業界でもあります。
福利厚生の設計で差をつける
給与・退職金に加えて、以下のような福利厚生も定着に直結します。
- 住宅手当・通勤手当の最適化
- ペット関連費用の補助(動物病院ならではの強み)
- 健康診断・予防接種補助
- セミナー・学会参加費の支援
これらは一定の要件を満たせば損金算入可能であり、
給与として支給するよりも税務効率が良いケースも多いです。
まとめ
動物病院における人材定着は、給与(短期的満足)、退職金(長期的安心)、福利厚生(働きやすさ)の3つをバランスよく設計することが鍵です。
さらに、これらを税務と連動させることで「コスト」ではなく「投資」に変えることができます。
北九州市(小倉北区・小倉南区)、下関市で動物病院を経営されている先生で、スタッフ定着と節税の両立について具体的に検討したい方は、三股秀之会計事務所までお気軽にご相談ください。
