「通帳にいくら残っていれば安心なのか分からない」
これは、多くの経営者が抱える共通の悩みです。
売上は伸びているのに、なぜかお金が残らない。逆に、現金はあるけど投資していいのか不安。
実は、経営において重要なのは「いくら持っているか」ではなく、「どこまで減ったら危険か」を把握しているかです。
今回は、倒産しないための現金の目安と、実務で使える資金戦略を整理します。
1. まずは「固定費の3〜6ヶ月分」
現金の保有額に絶対的な正解はありませんが、実務上のセオリーは明確でまずは固定費の3〜6ヶ月分を確保することです。
■ 最低ライン:3ヶ月分
- 売上が止まっても、立て直しの時間が取れる
- 短期的なトラブルに耐えられる
■ 理想ライン:6ヶ月分
- 融資が止まっても事業継続できる
- 経営判断に余裕が生まれる(精神的にも大きい)
2. 売上基準で見るとどうか?
固定費とあわせて、売上ベースでもチェックしておきます。
月商の1〜3ヶ月分
- 1ヶ月分: かなり危険(資金ショート予備軍)
- 1.5〜2ヶ月分: 中小企業の標準ライン
- 3ヶ月以上: 攻めの投資ができる状態
3. 本当に重要なのは「資金ギャップ」
ここが実務で一番重要なポイントです。
同じ売上でも、会社によって必要な現金は変わります。
その理由が入金と支払いのズレ(資金ギャップ)です。
- 売上は立っているのに入金は2ヶ月後
- 外注費や人件費は先に支払い
このズレが大きいほど、手元資金は多く必要になります。
つまり固定費の◯ヶ月分 + 資金ギャップ分で考えるのが実務的です。
4. 業種ごとの目安
ビジネスモデルによって必要な現金は大きく変わります。
■ 小売・飲食: 月商1〜2ヶ月分
- 現金回収が早い
- 在庫リスクあり
■ 建設・受託開発:月商3〜4ヶ月分
- 入金が遅い
- 外注費が先行
※前受金があるビジネスは、逆に資金繰りが安定しやすい
■ IT・サービス業: 固定費3〜6ヶ月分
- 人件費中心
- 在庫なし
5. 一番大事な考え方
最後に、実務で一番使える考え方です。「いくら持つか」ではなく「どこが危険ラインか」を決める。
例えば:固定費2ヶ月分を切ったら危険、月商1ヶ月分を切ったら要注意など、このようにアラートラインを設定しておくことで、「気づいたら資金ショート」が防げます。アラートラインに乗ると融資検討を考えます。
まとめ
- まずは 固定費3ヶ月分(理想は6ヶ月)
- 売上ベースでは 月商1〜3ヶ月分
- 本質は 資金ギャップの把握
- 最重要は 危険ラインの設定
資金繰りは「なんとなく」でやるとよくありません。一方で、一度基準を作ってしまえば経営はかなり安定します。もし「自社の場合はいくら必要なのか分からない」という場合は、業種・資金繰りに応じて具体的に試算できますので、三股秀之会計事務所へご相談ください。
